カスタマイズ 【特注】をビジネスにする戦略

発刊
2014年10月30日
ページ数
304ページ
読了目安
423分
推薦ポイント 6P
Amazonで購入する

Amazonで購入する

これからの消費財のビジネスモデル
大量生産の時代から、カスタマイゼーションの時代へ。インターネットや3Dプリンタなどの技術革新によって、少量多品種のビジネスモデルへと移行しつつあるトレンドを紹介している一冊。

カスタマイズ革命

2010年半ばには、食品からファッションまで、アメリカのすべての製造業における業績トップの企業が、大量生産を捨て、カスタマイゼーションに移行しようとしていた。この変動は、極めて大きく広範囲なもので、今後数十年の輪郭を形作る事になるだろう。今、我々は21世紀の「カスタム革命」の入口に立っている。

 

周囲を見回せば、いたるところでカスタム革命の火がついている。ナイキのカスタマイズ・シューズ、リーバイスのカスタマイズ・ジーンズ、デルのカスタム・パソコン、スターバックスのカスタマイズ・コーヒーなど。アメリカはカスタマイズ大国への道を進んでいる。全米共通の新しいビジネスの成功法則はいたってシンプルである。それは、顧客にカスタマイズサービスを提供する事だ。

 

大量生産の終焉

20世紀の常識では、コストも時間もかかるカスタマイゼーションは、よほど特殊な小規模企業でない限り、非効率なビジネスモデルとされていた。2000年代の初期まで、その壁をぶち破って本格的にカスタマイズ事業のビジネスモデルを展開していた小売メーカーは、デル1社だけだった。

しかし、2040年までには、食べるもの、着るもの、車、広告、海外旅行と、消費者の買うものすべてが、個人の好きなようにカスタマイズされるようになる。カスタマイゼーションは単なるトレンドではない。

 

急激に、一般消費財メーカーが低コストでカスタマイズサービスを提供する事が可能になったのは次の要因による。

①インターネット回線の高速化
②ウェブデザインの低価格化
③オンライン決済に対する信頼感
④インターネット接続がいたるところで可能に
⑤インターネットでニッチメディア広告が可能に
⑥発送システムの効率化

以上の要因によって、ありとあらゆる形の完全カスタム商品が、初めて、大量生産品とさほど変わらない価格と品質で手に入るようになった。但し、それでもカスタマイズ製品は大量製品よりは高くつく。そこでカスタマイズ企業は、インターネットによる消費者への直接販売モデルによって補っている。

カスタマイゼーションという巨大な成長市場が、アメリカの主要業界の一部を占めるようになる日は近いだろう。

 

選択のパラドックスを克服する

選択肢がありすぎると、人は選ぶ事ができなくなるというパラドックスがある。カスタマイズ事業で成功している会社は、どこも選択肢の問題に打ち勝つための「2つの共通法則」を見出している。

①顧客に選択肢を与えすぎてはいけない
②まず完成したデザイン見本を顧客に選ばせる

顧客にとって、選択する事はそれほど難しいのならば、1つのモデルを量産して押し付ける方がよいのではないかという疑問がある。しかし、行動心理学では、人は自分で苦労して作り上げたものをことさら愛でるという事が、既成事実とされている。目標とすべきは、顧客を疲れさせない程度に夢中にさせる事である。

 

カスタマイゼーションの7つの教訓

①大量生産と張り合うスピード・品質・価格を目指す
②最高のカスタマーサービスを提供する
③顧客が商品を気に入る事を再三保証する
④どんな場合でも顧客に選択肢を与えすぎない
⑤顧客行動を促す感情をターゲットにし、技術をダイレクトに売り込まない
⑥顧客が自社を褒めやすい環境を作る
⑦顧客の声を聞く

 

カスタマイズ事業を成功させる7つのステップ

①事業内容を決める
始めるべきは、自分が愛せるビジネスでなければ、時間をかけて取り組む事はできない。

②差別化を図る
昔からあるありふれたビジネスアイデアでも、カスタマイゼーションを加えただけで、新しくおいしいビジネスに生まれ変わるケースは少なくない。

③ターゲット市場を決める
どんな人たちが最初の主要ターゲット市場となるのかを正確に把握する。

④同業者と仲間になって製造方法を確保する
カスタマイズ企業はシェア争いよりも、互いに協力し合って、その商品をカスタム注文する事が可能だという事を消費者に広め、市場そのものを大きくしようとする場合が多い。

⑤会社名を決め、ドメインを取得し、設立登記をする

⑥会社のウェブサイトを作る

⑦開業する