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2017/02/15更新

ひとりの力を信じよう――「今あるもの」で人と地域の未来をつくる

  • 立花 貴
  • 発刊:2017年1月
  • 総ページ数:224P

161分

3P

  • 古典的
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地域活性化の可能性

震災から数ヶ月経つ頃から、盛んに復興の「あり方」が問われるようになった。震災前と同じ状態に戻ろうとするのではなく、新しい地域のビジョンを描かなければならない。「復旧」ではなく「創造」が必要だと言われていた。雄勝の町には大きな可能性があると考えるようになった。その理由の1つは、地域コミュニティの強さ。周囲から孤立しがちなことの裏返しか、地元の人々同士の関係は強い。もう1つの理由は、あらゆるものを流された小さな地域だからこそ、新しい取り組みも行いやすいと感じたからである。

避難所を回る中で印象的だったのは、家も船も漁具も流されてもなお、町の主産業である漁業を復活させることが町の未来につながると語る漁師たちや、子供全員を亡くしながらも町民のために頑張り続ける看護師さんなどの姿だった。何もかもなくなったように見える人の中にも、何か人のためになること、町が元気になることをしようとする人がいた。

漁業を通じて、町と人の絆を育てる

震災地で活動する上で強く意識したのは「ないものねだりではなく、あるものを活かす」ということだった。物資がない、人手が足りない、政府の支援が足りない。ないものを挙げればきりがないが、不平不満を言う暇はなく、今あるもので何とかしながら、前に進んでいくしかない。

必要なのは現地の人々が早く仕事を取り戻し、自律的な生活ができるようになること。もともと働く場所がないから、事業によって雇用を生み出さなければいけない。そんな時、「あるものを活かして」再建への道を歩き出そうとしていた漁師さん達から声がかかった。

震災前から雄勝の人口は減り続け、過疎化が進んでいた。その中で漁業は、後継者がいないという問題や、流通の経路により生産者の受け取り価格が決められないといった問題に直面していた。それで彼らが考えたのが、全国各地のお客様に定期的に、産地直送で海の幸を届けるモデル。漁業が元の状態に戻るまで、前金で支払ってもらえば資金繰りは安定し、直接販売することで収益性も確保できる。そして、お客様との関係も近くなる。イベントをしたり、生育状況や近況を報告するチラシを添えたりすることで、雄勝のことや漁師さんのことを知ってもらい、継続的な関係を作れたらと考えた。

1口1万円を支払ってもらい、その時の旬の海の幸をお届けする。商品には、水揚げする様子など漁師さんの写真に手書きのメッセージを添えたチラシを同封。会員はどんどん増えていった。

震源地に最も近い、建物の8割が流出し人口の8割が流出した、震災地の中で最も厳しい状況に置かれた地域、雄勝町の変化は、訪れた人による口コミやメディアでの紹介によって、徐々に広く知られるようになった。