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2017/01/11更新

人質の経済学

307分

4P

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誘拐ビジネスの仕組み

アフリカで横行する身代金目的の外国人誘拐ビジネスや難民の密入国斡旋ビジネスの仕組みを解説している一冊。


■すべての始まり9・11愛国者法
アメリカで愛国法が発効したのは、9・11からわずか1か月後の2001年10月のことである。この法律は、政府による監視を強化すると同時にアメリカ人の市民権を制限し、犯罪組織の資金の流れやドルのマネーロンダリングを阻止するための新たな銀行ルールを定めている。その結果、コロンビアの麻薬カルテルは、ヨーロッパへの新たなコカイン密輸ルートの開拓と、新たなマネーロンダリングの方法を開発する必要に迫られた。彼らが新たな密輸ルートとして選んだのは、品物を西アフリカに運び、そこからサハラ砂漠を縦断するルートだった。いち早くこのビジネスに乗り出したのが、イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)である。のちにAQIMは、外国人の誘拐や移民の密入国斡旋にも手を拡げている。

9・11が起きるまでは、世界の麻薬取引の利益は大半がアメリカで洗浄され、クリーンな米ドルに替えられていた。麻薬取引の80%は、ドル建ての現金決済だった。そのドルをアメリカ国内に運び込む主なエントリーポイントとなっていたのは、西インド諸島にあるオフショア金融機関や偽装銀行である。だが愛国者法の制定により、このプロセスは極めて困難になった。

超短要約

アフリカに麻薬が持ち込まれ、それが誘拐に発展するようになったすべてのきっかけは9・11を契機にアメリカが制定した2001年愛国者法にある。まず、愛国者法を受けてドル取引のすべてを米国政府へ届けることが金融機関に義務付けられた。そしてユーロ決済ルート開拓のため、コロンビアの麻薬カルテルとイタリアの犯罪組織が接近した。ヨーロッパやアジアで上げた麻薬取引の利益のユーロ決済によるマネーロンダリングと、コカインをヨーロッパに持ち込む新たなルート開拓が目的である。ベネズエラから西アフリカの黄金海岸、そしてサヘル地域(サハラ砂漠南縁部に広がる半乾燥地域)がヨーロッパへの主な中継地となった。

アフリカの密輸業者たちはこのビジネスに早速、名乗りを上げる。彼らは陸路コカインを運ぶ。マリのガオを拠点に、サヘル地域を通り、モロッコ、アルジェリア、リビアの地中海沿岸に達する。そこから小型船が船団を組み、ヨーロッパへ持ち込む。

そこから間もない2003年、サハラ周辺で密輸をしていた「武装イスラム集団」から分離したグループが、大仕事をやってのける。アルジェリア南部でヨーロッパ人旅行者32名を誘拐した。この時にヨーロッパ各国の政府は莫大な身代金を支払った。これをきっかけに、多くの犯罪組織や武装集団は、欧米人の誘拐が資金調達の格好の手段だと気付いた。

9・11からわずか5年度には、麻薬ビジネスの横行でサヘル地域の治安は急速に悪化。いくつかの国家は破綻するか、半ば破綻状態となり、多くの経済難民がヨーロッパに押し寄せた。この時に移民や難民の密入国斡旋ビジネスも始まった。

主要国政府はサヘル地域での誘拐の頻発を公の場で非難せず、身代金を払ったことも認めず、同地域への適切な介入も行わなかった。このことで誘拐組織はやすやすと事業を拡大した。9・11以来、誘拐の件数は飛躍的に増え、身代金の要求額もうなぎ上りになっている。

著者 ロレッタ ナポリオーニ

1955年生まれ。ジャーナリスト 歴史上初めてテロリストが国家をつくることに成功するかもしれないとイスラム国に早くから注目。2015年『イスラム国 テロリストが国家をつくる時』がベストセラーになり、話題になった。 ハンガリー国営銀行に勤務し、通貨フォリントの兌換通貨化を達成。マネーロンダリングとテロ組織のファイナンスに関する研究の第一人者。

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帯
ジャーナリスト 池上 彰
週刊ダイヤモンド 2017年 1/14 号 [雑誌] (仕事・勉強に効く「集中力」&記憶術・速読術) 週刊ダイヤモンド 2017年 1/14 号 [雑誌] (仕事・勉強に効く「集中力」&記憶術・速読術)
丸善・ジュンク堂書店営業本部 宮野 源太郎

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
はじめに 誘拐がジハーディスト組織を育てた p.8 6分
序 章 スウェーデンの偽イラク人 p.15 4分
第1章 すべての始まり9・11 愛国者法 p.20 15分
第2章 誘拐は金になる p.39 12分
第3章 人間密輸へ p.54 16分
第4章 海賊に投資する人々 p.74 16分
第5章 密入国斡旋へ p.94 10分
第6章 反政府組織という幻想 p.107 14分
第7章 ある誘拐交渉人の独白 p.124 6分
第8章 身代金の決定メカニズム p.132 10分
第9章 助けたければ早く交渉しろ p.145 14分
第10章 イスラム国での危険な自分探し p.162 14分
第11章 人質は本当にヒーローなのか? p.180 16分
第12章 メディアを黙らせろ p.200 18分
第13章 助かる人質、助からない人質 p.222 10分
第14章 あるシリア難民の告白 p.234 11分
第15章 難民というビジネスチャンス p.248 14分
終 章 欧州崩壊のパラドクス p.265 4分

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